こんにちは。
暑い日が続いてきましたね。暑い夏が今年もやってきます。
さて、これだけ気温が上がってくると、心配なのが、ペットが亡くなったら…。です。
なんとなく、冷やさなきゃ!というのは皆さん心がけてくださっているので、お電話を受けた時も「冷たくはしているのですが…。」と言ってくださる方がほとんどです。
では、ペットのお別れに携わっている「ペットセレモニーディレクター」として、ペットが亡くなってしまたっらどうしたらいいかを少しご紹介させていただきます。
まず、動物さんたちは、痛いとか苦しいとかを人のように敏感に感じることはできないので、調子がとても悪くなる直前まで、普通にご飯を食べ、散歩を楽しみ、いつもと変わらない様子でおられることが多いです。ご高齢になられてきて、動きが鈍くなってきたり、食が細くなったり、寝ている時間が増えたりということもありますが、それも、「若いときに比べたら」との範囲だったりします。なので、「病気を見つけてあげられなくて…。」と、悔やまれるご家族様も本当に多いのですが、ペットちゃん自身が「え、あたし病気なの?ぜんぜん知らなかったー!!」と、知る由もないので、別れは突然であることが多いのです。あとは、この季節、熱中症とか脱水症状とか、思いがけず調子が悪くなることも多くなります。人は誰しも「心の準備」をしてないことが起こると、戸惑うことが多いです。この季節は特に、大事なご家族様との急なお別れに遭遇してしまう事態も十分考えられます。「ペットを家族に迎え入れている」ということは、こんな事態と背中合わせであることを心の片隅にとどめておいてくださいね。
さて、それではペットちゃんが旅立たれたら。
「お疲れ様。頑張ったね。」と、声をかけてあげてください。動物さんは人よりはるかに「生きる」ことに貪欲で、「生きていたい」と、最期の瞬間まであきらめません。なので、精一杯の愛情をもって労をねぎらってあげてください。そして、「さみしいよ。」と、我慢しないで泣いてもいいのです。
旅立った瞬間から、ペットちゃんの体にいる「菌」(これは人も同じなのです)が、解放されていきます。だから徐々に腐敗が進んでいきます。そこで、「菌」が広がりにくい環境を作りましょう。その環境とは、「保冷」です。ミクロの世界の生き物も、寒いよりかは暑い方が活発で元気です。そして、乾いたところより潤いのあるところの方が心地がいいのです。だから、血液がたくさんある内臓とか大きな血管とかを重点的に冷やしてあげることが効果的です。
具体的には、「首」「おなか」を保冷剤とかアイスノン、氷などを使って冷やして、水滴がついたり、濡れてきたら、時々拭ってあげてください。その時に使ったタオルは処分していただける方がいいのです。「頭」もぜひ冷やしてあげてほしいのですが、頭がい骨があって直接冷たくするのはなかなか難しいです。ドライアイスは優れもので、冷気はそのままで気化するのでご遺体が濡れません。ですが、一般の人が入手するのは難しく、しかも結構高価だったりします。今はインターネットとかで調べたら、販売してもらえるところとかもあるかもしれません。ですが、安置の期間やペットちゃんの大きさにもよりますが、タオルを巻いた氷を当ててあげて、時々話しかけながら拭いてあげられる方が多いように思います。ご家族様との最後の時間ですから、何かとそばでお過ごしのことと思います。そうなれば、ご遺体に対する効果はドライアイスも氷や保冷剤も大差ないように思われます。ドライアイスについて、私どものところにお問い合わせいただくこともあるのですが、販売などの取り扱いはさせていただいておりません。
「心配なので、冷蔵庫に寝かせています。」というお話をお聞いたことがあります。ご遺体にはベストな環境ですが、前述したとおり、ご遺体は「菌」が解放されてる状態なので、「食品庫」として使っておられる冷蔵庫での安置はしないでください。
確かに、この季節、常温の部屋でどんなに頑張って保冷してもご遺体を20℃以下にすることは至難の業です。
ですが、お日さまが降り注ぐ暖かい環境でない限り、上記の保冷を心掛け、風通しのよいできるだけ涼しいところに寝かせてあげていただければ、一晩、ちょっと頑張って一昼夜くらいなら、普段お休みになっておられるようにしてあげていただいても、可愛いままで送ってあげることができます。お仕事やご家族様のご都合もおありのこととは思いますが、ペットちゃんにとっても、ご家族様にとっても、それ以上の期間の安置はやはりお勧めできません。季節的に早い方がいいというのではなくて、お別れがつらくても、一両日中くらいで「いってらっしゃい。」と送り出してあげることも、飼い主様の務めです。
夏は、ご遺体の保存が難しいから、早くに火葬しなければいけませんか?と、質問を受けることがあります。
冬場よりかは気にかけていただかなくてはなりませんが、ペットちゃんはご家族様の一員です。やはり、お通夜というわけではありませんが、一晩くらいは一緒にお過ごしのお時間をお作りになられることをオススメしています。家族の皆様で、迎え入れられた日のことから旅立ちまでを、ペットちゃんを囲んでお話したり一緒に泣いたりする時間はとても意味があります。旅立たれた子を見ていることは、ご家族様にとってはとてもつらいことかもしれません。中には、助けてあげられなかったのは私のせいだと、自責の念に駆られる方もいらっしゃいます。ご家族様が無理をされることはありません。見ているのはつらいから、時間をおかずにお別れされるのも、その時の最良の選択です。ご家族様を失った悲しみを忘れることなんてできません。でも、その子の歴史を、きちんと忘れないでいてあげられるのはご家族様しかいません。その時でなくても、時間がかかっても、向き合って見つめてあげてくださいね。その時間を作ってくださいね。
そして、お別れをされる具体的な日にち時間を決めていきます。弊社はすべての子が個別火葬ですので、ご予約が必要です。
お電話をくださるときに、希望の日時候補をいくつか持っておいていただけるとスムーズです。
ご来園、もしくはお迎えに上がらせてただくまでに、ペットちゃんと一緒にお棺に入れてあげたいもの「納棺品」をご用意ください。プラスチックや化繊素材のもの、陶器やアルミのお茶碗など、火葬に向かないものもありますが、気になるものは持ってきてください。その時スタッフに聞いてもらえたらいいと思います。
弊社ではコースもいろいろありますが、そのようなことも、ご来園になられてからお決めいただいて構わないことばかりです。
まずは、お別れのセレモニーに向かう心の準備と言いますか、送り出してあげるという最後のペットちゃんへの感謝を表す場面に向かっていただきたいと思います。
愛と感謝を込めて…
安希