昨日、ゴールデンレドリバーのお別れを承りました。
毛艶の美しい綺麗な子でした。
受付表を拝見すると2歳。まだまだお若い子でした。
「悪性リンパ腫だったんです。」
と、ご家族様。若いから進行も早かったようです。とも。
お別れのお話を聞くと、人も動物も変わらないのです。
大型犬さんは、貫禄ある体格の割には、おとなしく優しい子が多いと言います。大型犬さんと一緒に暮らしたことのある人は、やはり次も大きな子がいい!!と切望されます。
でも、大きい子は自分で動けるときは全く問題ないのですが、その子の意志とは別に、動けなくなることがあるのです。そうなると、体重30kgを超えている子を動かすのは至難の業なのです。
前述の通り、まず私が一人で、火葬炉にこの子を乗せることから無理なのですが、わが社の男性スタッフは、特別力持ちなわけではないですが、ちゃんとコツを知っていて一人でも火葬炉の丁寧に乗せてあげることができます。残念ながら、まだまねができません。ネックは私の小ささです…。どうにもならないのですが…。
この日は、二人だったので、そのところの問題はありません。
手を合わせてから、炉内へ送ります。はじめは炉内を十分に温めます。炉内が300℃を超えたくらいで火を入れます。炉内の温度が上昇します。大体800℃~850℃で火葬をします。このくらいまで温度を上げると、煙もにおいも出ません。火葬場の煙突から白い煙に乗って魂が空へ帰っていく…見たいな映像が流れることがありますが、それはあってはいけないことです。大型犬さんの場合は、このくらいの温度を保ちながら約1時間半~2時間ほどかけて火葬させていただきます。
火は偉大です。私たちが扱う火は、愛された動物を自然に帰してあげる為のものです。
火は危険です。だから、知恵と愛情とおもいやりをもって、まわりの方々や環境にも十分に考慮して正しく扱います。
火は素直です。燃えるものと燃える環境が整えば、美しい炎が揺らめきます。
私たちが扱う炉の中の炎は、いつも美しいです。なぜならきちんと環境を整えるからです。燃料と空気のバランスが命です。バランスを崩すとすぐに炎が濁ります。不完全燃焼です。炎と炉内温度計の動きでバランスが保たれているかそうでないかを見ることができるのです。
実は、私たちのスタッフには、炉を設計する炎のスペシャリストがいて、火葬指導を他社でも行っています。
私も指導を受けていますので、理屈ではわかりますが、その子その子で、肉のつき方から、体格から違いますし、一筋縄ではいかないものです。中でも、大型犬さんは、炎のバランスを保つのがとても難しいのです。被毛の長さや部位の大きさの違い、水分含んでいる場所や量の違いなどで、一刻一刻炎は変化します。それに敏感に反応して、燃料と空気量を絶えず調節し続けるのです。火葬従事者は常に目と感覚を光らせ、微調整を繰り返すのです。もちろん自動制御とかではありません。火葬従事者は火葬の間中ずっと気を張っています。
火葬業務って、敬遠されがちな仕事かもしれませんが、私はスタッフを見て、「劇的ビフォーアフター」風に、「炎のスペシャリスト」と思っています。職人魂だってあります。
その技を見るたびに、わが社の炉とそれを操るスタッフに感心しています。
愛と感謝を込めて…
安希